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悪口や陰口というのは、いつも心に深いダメージを与えてくるもの。
小学生の頃に言われた些細な一言を、大人になっても思い出すほどに悪口で負った傷は治りにくい。
誰だって、悪口なんて言われたくありません。
しかし、心の持ちようを変えてみれば、悪口は最良の友となりえるのです。
シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』が、今なお世界中で語り継がれていることからもわかるように、人間は悲劇を愛する生き物です。
自分を害する敵を記憶して次回からは避けられるよう学習するためなのか、私たちは楽しかった思い出よりもつらかった思い出の方をよく覚えています。
試しに思い出してみてください。
嬉しかった褒め言葉はおぼろげな一方、傷つけられた一言はシチューションからセリフまで鮮明に焼き付いているのではないでしょうか。
悪口とは、心の内側にある柔らかい部分を傷つける刃物。
ですが同時に、私たちの客観的な姿を映しとる鏡でもあるのです。
例えば背の低さを揶揄するものなど、本人の努力だけでは改善が難しい悪口もあります。
しかし中には、自分では気づけなかった弱点を教えてくれる、ありがたい悪口も存在します。
言われた時に感じる痛みが鋭く強烈なものであればあるほど、無意識のうちにコンプレックスを抱いていた、直したい部分を的確に指摘してくれるのです。
少しでも「たしかに」「一理ある」と思った悪口は真摯に受け止め、他でもない自分自身のために改めることが肝要です。
とはいえ、これまでの人生の積み重ねが現在の自分ですから、今の私を変えるというのは難しいことです。
ふとした瞬間の気の緩みから、ズルズルと元の振る舞いに戻ってしまうのはよくある話。
そして、そんな時に力になってくれるのは、身近な人の声援よりもむしろ悪口だと私は思います。
どんなに忘れようとしても忘れられない苦しい記憶。
胸をえぐる強い言葉だけが、すぐさま怠けようとする私たちの心をつなぎ止める鎖たりえるのです。
「かわいいと言われたいからがんばる」のではありません。
「ブスだって? ふざけんな!」という怒りと悲しみを胸に、新しい自分に生まれ変わりましょう。
悪口は大きな精神ダメージを与えてくる敵であると同時に、時に私たちを成長させてくれるありがたい存在でもあります。
耳に痛いことを指摘してくれる人であればこそ、単なる友人に留まらない、親友と呼べる間柄になれるのではないでしょうか。
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