灰色の日常を抜け出す方法

毎日毎日同じことの繰り返し。
朝起きて、満員電車に揺られて、働いて、家に帰ったら夕飯を食べて眠るだけ。
自宅でずっと家事をして、外に出るのは買い出しと子供の送り迎えだけ。
延々と続く日常生活に飽き飽きしていませんか。
もっと新しいことにチャレンジしたい、そう思う心まで忙しさに埋没してはいませんか。
そんな毎日は、しかし考え方一つでたやすく塗り替えることができるのです。

誰しも1度は、自分が生きる目的や意義について考えてみたことがあるでしょう。
小説や漫画など、物語の世界では必ず一人一人に意味・役割が設定されています。
苦難を乗り越え巨悪を打ち倒す主人公も、魔物を繁殖させて世界を滅ぼす魔王も。
物語の登場人物は自身に課せられた使命のために、文字通り命をかけます。
たった1つの目的のために専念する彼・彼女らの生き方は鮮烈で、私たちのそれとは全くの別物です。

現実では常に目的やタスクが乱立し、熟しても熟しても無限ポップしてくる。
すべての物事に目的があり、目の前の仕事はまた別の仕事のための前段階でしかない。
そんな日々に追い立てられる私たちにとって、何の役にも立たない行動というのは道楽に過ぎず、趣味の1つを逸脱することはありません。

しかし、意味のあることなど、本当に存在するのでしょうか。
すべての事象には始まりがあり、始まった瞬間に終了を決定づけられる。
それ故、この世に不変の価値はなく、普遍の意味は存在し得ないと私は考えます。
魔王を倒してハッピーエンドになるのは、それが物語だからです。
現実なら、元魔王領の利権を奪い合う人間同士の戦争が始まるに違いありません。

泡沫の世界で私たちにできることはたった1つしかありません。
それは、目の前の物事に全身全霊の注意を傾けることです。
神羅万象に目的・意味はなく、存在するのは自分と、自分が感じ取る世界のみ。
他の何物をも目的に据えることなく、ただそれを為すためだけに行うこと。
理由は必要ありません。
そんなものは、人が勝手に世界に対して押し付けた連関でしかないからです。
目的に追われ続ける世界を脱出したあなたの目に、日常はたちまち輝きを取り戻します。
見るもの全てが新鮮な色彩を惜しげもなく露出する剥き出しの世界。
それはまさに、大人の理屈を知らなかった頃のあなたのように。